「囀る鳥は羽ばたかない」の二人ははたしていつくっつくか
囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129) | ヨネダ コウ | 本 | Amazon.co.jp
「囀る鳥は羽ばたかない」
著・ヨネダコウ
1巻出版 2013/1/30
現在3巻まで発売中
▼以下Amazonあらすじ引用
ドMで変態、淫乱の矢代は、真誠会若頭であり、真誠興業の社長だ。
金儲けが上手で、本音を決して見せない矢代のもとに、百目鬼力が付き人兼用心棒としてやってくる。
部下には手を出さないと決めていた矢代だが、どうしてか百目鬼には惹かれるものがあった。
矢代に誘われる百目鬼だが、ある理由によりその誘いに応えることができない。
自己矛盾を抱えて生きる矢代と、愚直なまでに矢代に従う百目鬼。
傷を抱えて生きるふたりの物語が始まる!
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一巻一話は医者とある日出会った素行不良な青年とのお話ですが、この物語のメインは二話から始まるといって問題ないと思います。
男に抱かれることが日常のヤクザ若頭矢代と新米のわけあり風な分かりヤクザ者百目鬼(どうめき)。
一話のお医者さんが実は若頭の昔からの顔なじみという世界観を共有しています。
でもって若頭受け。ヤクザで淫乱受けってそうそう無いなあという印象ですが、ドMの中にも男らしさがある若頭の魅力の高さといったらもう…。
最初に書店で手に取った時は、裏表紙のあらすじのあまりの仰々しさに正直購入を辞めたことが二回あります。
(すみません…帯とか巻いてなかったんであらすじだけだと手が出しづらくて…)
読んだ感想としては率直に「これもっと早めに読んどけばよかったあ〜」
ヤクザものっていうと日常生活をおくる一般人な私からすると一種のファンタジー。
大体が二つに分かれると思ってます。
①ヤクザの名前を借りたライトめな内容(けして悪いわけではなく)
②ストーリの重さを重視、裏社会にもフォーカスした内容
「囀る鳥は羽ばたかない」の場合にはこの①②の間をとった絶妙な所に居るからこそ、BL作品として百目鬼×矢代の世界観が作られています。
(女性向けの漫画としてなら若干②よりかもです。青年向けの裏社会系に比べると全然ライト)
過去に父親からの性的虐待を受けていた矢代と、過去に妹が性的虐待を受けている所を発見した百目鬼。
同じではないけど近い場所で闇を見ていた二人がそれをお互いどう思っているかが作品内ではバランスよく盛り込まれている。
んで百目鬼は八代のことを尊敬(傾倒?)しながら徐々に恋情を抱いて行くので、ど淫乱だのドMだの言われる八代を一人綺麗なものとして扱うもんだからもう…もう…細部の表現が素晴らしすぎる…!
寡黙健気なわんこ受けがまた百目鬼にマッチしていてイイ。
ここまで書くと案外さらっとしてますが、現在発売されている三巻でまだ二人がくっついていない…
えええって感じですが、ちょっと自分の情報整理のためにも結ばれていない条件を並べてみます。
↓八代サイド
・父親からの性的虐待もあり恋愛なんてできないと思っている(自覚無く)
・百目鬼が自分に好意があるとはこれっぽっちも思っていない
↓百目鬼サイド
・妹の事件以来アレが不能になった
・不能なのが珍しくて八代が自分を側に置いてくれているのかと思っているので恋情が気付かれたらもう側にいられない気がする
見てる側がやきもきせず、「お前らさっさとくっつけよ!」とならないのは、それなりに二人ともが薄暗い背景を持っているから。
十分に納得し相手を好きだと自分でどうしようもなくなった段階でくっついて欲しい。となると今3巻で、くっつくの5巻くらいになるかもしれない…楽しみに待っています。